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理解のバランス:言葉と感覚の重なり
言葉には、伝えるという基本的な機能があります。これは、人だけでなく、動物たちもジェスチャーや声などの非言語的な手段を使ってコミュニケーションを行っていることからもわかります。本質的に、言葉は「伝える」という目的を持っていると言えるでしょう。 この仮定に基づけば、言葉はわかりやすさを基本としているはずです。しかし、実際にはわかりにくい言葉、例えば哲学的な表現や専門的な言葉もあります。では、なぜこのようなわかりにくい言葉が必要とされるのでしょうか? それは、言葉が人間の直感で簡単に捉えられない抽象的な現象を、厳密に記号化する作業だからです。こうした抽象的な言葉は、日常的な言葉から遠ざかっていく一方で、物事の本質や複雑さを深く掘り下げて表現する役割を持っています。言葉は単に情報を伝える道具にとどまらず、考えの深さや複雑さを表現するための道具でもあるのです。つまり、言葉には「伝える」機能(コミュニケーションの役割)と「考える」機能(思考形成の役割)があると言えるでしょう。 一方で、直感的で多層的な意味を持つ言葉もあります。たとえば、オノマトペ(擬音語や擬
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善く生きるということ
先日、久しぶりに帰省した日が、ちょうど住職さんにお経をあげていただく日でした。 お経をあげていただいたあとに、法話を聞くですが、いつも深い意味を持った話をされるのが印象的です。 今回も、ただ単に生きるということ、善く生きるということ、そして永遠を生きることになるというお話をいただきました。 気になったので、あとでいろいろ調べてみると、ソクラテスの言葉に通ずる哲学のようでした。 少しニュアンスが違うので、浄土真宗の教えかと思って調べるも、そういった情報も出てこず。 直接、住職さんにどのような教えの一部なのか聞いておけばよかったと少し後悔。 家に仏壇がある家庭が少なくなった今、仏教の教えを知れる貴重な機会を次は逃すまいと思った次第です。
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無印のパルプボードボックスが廃盤に…DIYで自作することに!
愛用していた無印の棚がまさかの廃盤に…。 IKEAやニトリにも良い棚はありますが、せっかくなので自分で作ることにしました。 近くのホームセンターで材料をチェックし、ホワイトウッドの19×30材を使うことに。 サンダー掛けせずとも表面が滑らかで、面取りされているので、柔らかい雰囲気に。 何より軽くて安価なのが決め手でした。 長さ1820を無駄なく使い切るように、余った材料でスツールも作ることにしました。 ホームセンターのカットサービスで正確にカットしてもらい、あとはミニビスで組み立てるだけ。 ミニビスでどのくらい強度を保てるかという実験でもあります。 細い材料なので、ビス留めに少し精度はいるものの、慣れれば簡単です。 ハシゴ状に組み立てて、それを重ねるだけで、強度が増すという考え方。 短いピッチでビス留めしているので、背板がなくてもある程度強度は出そう。 本棚としても十分な強度がありそうな棚ができました。 重さは約14kg、比較的軽くて、強度がある棚の作り方としては良いのではないでしょうか。 試しにぎっしり本を並べてみても、たわみもぐらつきもありま
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安部公房生誕100年祭
「砂が降ってきますから」 調布に住んだ文豪ということで、安部公房の生誕100年祭が開催されたそうです。映画「箱男」も上映されているようだし、見に行ってみようと思っていますが、まずはその前に予習ということで 勅使河原宏監督の『砂の女』(1964) を鑑賞しました。 白黒のざらっとした質感と、接写による人の湿りを感じさせる生々しい描写、乾いた空気、息苦しさ、心理描写なども含めて、 生について深く考えさせられる映画でした。 建築設計者としては建物に目がいってしまうのですが、気密性なんかは全くなく、砂が天井から降ってくる、ましてや砂のベッドルームのような部屋があるのはなかなか新鮮で見入ってしまいました。 この家は、人が環境に順応するしか術がないという状況に置かれており、非常に過酷で、人の生きる力を最大限に発揮しなければ、生きることすらままならないという家です。通常の住宅は、人が自然をコントロールすることで快適さを獲得しますが、全く逆の状況に置かれた人を描写しています。配給による飲食のみで食べ物の自由もなく、休む場所を守るためには砂かきをし続ければならない
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